「多くの知識を頭に詰め込むだけでは得られない」これからの時代を生き抜くために本当に必要な力を育む教育とは?

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編集部
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Nanaさんは日本の学校に勤めていた時期もあるんですよね。その時はどうでしたか?

Nanaさん
Nanaさん

教育大学を新卒ですぐホンジュラスにきたのですが、コロナパンデミックで日本に帰国した時は特別支援学級で働いていました。その時の経験はかなり私の中で自分の生き方を変えてもらった気づきが多くありました。

編集部
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コロナ渦中なので、普段と違う特殊な環境だった頃ですね。

Nanaさん
Nanaさん

はい、そういった部分でも難しく感じたことも多くありましたし、特にそれまでの私自身がいかにも日本人気質できっちりしてないと本当に嫌、時間に1分遅れただけでも気にするという人だったんです。ただ特別支援の環境にいて、色々な特性がある子供と関わっていく中ではその急いだり怒ることの意味のなさを実感しました。

Nanaさん
Nanaさん

子供自身の自立を促す必要があるので、私があれこれやってあげることが子供のためではないですし、着替えに15分かかろうと、20分かかろうと、隣で待ってあげなきゃいけないですよね。それが最初は本当にもどかしくて、例えばある生徒の行いに対して、自分の中では怒っていたけど怒ってないように「こういうことはしちゃダメだよね」と諭さなきゃいけない時と、自分としてはそんなに怒ってないけど、あえて本当に怒ってるような口調で言わなきゃいけない時もあったり、自分の中で感情をコントロールして、子供達と接していくという部分はとても鍛えられました。

編集部
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実際、今まで学生だった若い先生たちがいざ仕事をするとなった時、自分の感情や向き合う相手との接し方をコントロールするというのは難しいですよね。それに教育者という立場でもありますから責任も発生しますし、子供達から学べることもたくさんありそうです。

Nanaさん
Nanaさん

特別支援級での難しさは確かにあるのですが、時間をかけた分だけ何か1つのことをできるようになった時の喜びが本当に大きかったっていうのは印象深いです。

それに特別支援級のクラスでも、その子の特性や度合いも本当に様々なのでそれに合わせる柔軟性とか寛容さは今でも残っています。特別支援での勤務を終えたあと、周囲の人からなんだか丸くなったねとか穏やかになったねと言われました。

編集部
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今も国民全体的にルーズな感じの環境にいるので、その寛容さは持っておくと良さそうですね。

Nanaさん
Nanaさん

はい、みんな待ち合わせに必ず遅刻してきますし、まだ家出てないのにもうそっちに向かってるとか嘘つきますからね(笑) いちいち怒っても仕方ないので、私も今ではすっかりこのラテン文化に慣れてきたから逆にきちっとしすぎる環境だときついと思います。日本での教師経験があったから、今の活動でも引き出しがたくさん増やせたなって思っていて、感謝しています。

これからの社会に必要な日本の子供教育の課題やどんなもの?

編集部
編集部

今の地点で、日本の国内外から見たNanaさんの教育観や理想を聞いてみたいです。今子育て真っ最中の親御さんや、これから子供を持つ可能性がある方々の気になるところがたくさんあると思います。

Nanaさん
Nanaさん

先ほどの自己肯定感のことをもう少し言うと、日本人の国民性や社会の中で生きるために必要な謙遜は文化としてあると思いますが、自己肯定感の低さといったものは後から簡単にどうにかできるものではないすし、人と比較しながら生きるって自分も辛いし、私は子供たちにそのことで苦しみながら生きてほしくないと思っています。

編集部
編集部

日本は島国ですからね、どうしても村八分になったら終了みたいな村社会的な価値観は昔からあると思いますが、だからと言ってこんなに自由に自分で生きられるようになった時代に萎縮してしまうのはもったいないです。

Nanaさん
Nanaさん

誰かや何かと比較しながら生きる価値観が固まってしまうと、狭い世界や視野で生きる第1歩になってしまいますし、人との比較で何かを決めたり判断する前に、本来の自分のありのままを大事にする必要性はこれからの時代や日本でも必要だと感じています。

編集部
編集部

客観的にテストや仕事の業績、何かしらのデータや統計を比較したり見ることで問題を解決するヒントを探したり、次のアクションを決める材料にするために比較は必要ですが、自分の生き方や人生を人と比較してもどうしようもないですからね。

編集部
編集部

あと私個人として日本の教育で起きている問題の一つに「子供1人育てるのにお金かかりすぎる問題」があると思っていて、子供に良い教育を受けさせたいという親の気持ちはよく分かるのですが、過度に何かを犠牲にして教育にお金や時間をかけてしまうことで何か大切なものを見失っている部分も多い気がして・・実際、経済的な理由が日本の少子化の原因のトップにきてもいますし。そこについてはどう考えていますか?

Nanaさん
Nanaさん

私が思うのは、日本の子どもたちって習い事の数めっちゃ多くないですか?小学生のうちからもうすごいハードスケジュールで、月曜日はピアノ、 火曜日はスイミング、水曜日は塾みたいな感じの子って少なくないと思うのですがちょっとやりすぎだなと海外に来てから特に感じています。

Nanaさん
Nanaさん

私は日本の塾でも働いてたことがあるのですが、例えばその時によくあった場面に親御さんが「自分の子供に英語を喋れるようになってほしい。」と言われるんですよね。

確かに喋れるようになってほしいのは分かるのですが、その子にとって実は必要なかったら無理にやらせる必要はないと思っていて、結局「こういう風に子どもが育ったらかっこいい」とか、「英語喋れる自分の子どもが優秀で誇らしい」みたいな親のエゴが前面に出てしまうことで、子供は望んでいないのに重荷をたくさん背負わせてしまうだけになるケースはよく見かけていました。

編集部
編集部

なるほど、英語を話せるようになるという手段が目的になっていて、その先にある子供の人生とか意思をスルーしてしまうのは良くない気がします。

Nanaさん
Nanaさん

親の理想とエゴを優先するあまり、本当に子供がやりたいことを無視してまで興味がないものやらせる必要もないし、私の考えでは、自己肯定感の面でもやたら勉強するよりもそういった人格形成に方が正直大事だと考えています。

生きていく上でお金を稼ぐ能力や賢さも大事ですし必要なものですが、「みんな勉強してたくさん人より多く何かを身につけることイコールお金が稼げて幸せになれる」という概念が常識みたいに思う方も多くいると思うのですが、それはちょっと違うかなと思います。

編集部
編集部

本人にとっての本当に体も心も豊かな人生を歩むとしたら、その人なりのやり方や自然な答えはそれぞれですからね。自分が本当にやりたいことを我慢して時間を使うことに割いた先にあるのが、本当に自分が望んでいた結果になるとは限りませんし。

Nanaさん
Nanaさん

今の日本の教育のままだと、小学校、中学校、高校まで行って、大学まで行くかどうか?あとはどこに就職しようかというレールが敷かれていて、本来は選択肢がもっとあってもいいんじゃないかと思うんです。 自分で何か価値があるものを世に生み出せるとか、いきなり大企業の社長とまでは言わなくても自ら新しい事業を立ち上げたり、上に立って人を引っ張っていく活動をするとか、そういった選択肢もあるんだよという教育をもっとしていきたいですよね。大人になったら誰かの元で働かないといけない、それが普通だしそんな選択肢しかないと思い込んでしまうのはちょっと違うと思います。

編集部
編集部

せっかく日本は先代が築いてきたインフラや社会システムの基盤もあることですし、もっと多くの人が伸び伸びと自分の才能とか力を発揮して、そこで生まれた価値を経済的な豊かさとか良い循環にしていける社会にしていきたいですよね。

教育現場に立つNanaさんからのメッセージ

編集部
編集部

最後に読者の方へのメッセージをお願いします!

Nanaさん
Nanaさん

勉強が人より良くできることよりも、自分がいかに幸せに、日々楽しく感じられる人生となるようなベースを作ることがまずは1番大事です。そのために自分で自分をコントロールして機嫌をとったり、自分自身の心を満たせるような人がたくさんいる社会になったら、もっと日本も肩の荷を降ろして穏やかに暮らせるんじゃないかなと思っています。

Nanaさん
Nanaさん

まだ小さい子供の鉛筆や箸の持ち方がちょっと違っても、トマトを赤じゃなくて青で塗ったとしても頭から否定せず、そういった細かいことよりもその子供自身の個性を尊重したり、例えば自分の子供だったら周囲の大人に対しても謙遜しすぎず「私の子供はこういうところが素晴らしいのよ」と、その子の前で自慢してほしいです。これはホンジュラスの人たちのことなのですが(笑)

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Nanaさん
Nanaさん

子供は親の姿や言葉を良く見聞きしています。自分の親が「私の子供ったら、勉強しないであんなことしてばっかりで〜」なんていう話を誰かとしているのを聞いたら、自分はダメな子なんだと思ってしまうと思いませんか?

こういった小さな積み重ねが、先々でその子にとってのコンプレックスになってしまったりします。ただ、私も海外に出たからこそ日本人の気質や優しさ、繊細さは本当に素晴らしいものだと思っています。この日本の素晴らしい個性や特質を持ちつつ、個人としては自分の生き方や存在そのものに価値を感じて自信を持って生き抜ける人を1人でも多くなってくれたらいいなと思っています。

編集部
編集部

日本国外に出れば出るほど、「ああ私はどこまで行っても日本人なのだ」と実感する気持ちはよくわかります(笑) これからの国際社会で活躍したり1人1人が輝ける社会にしていきましょう!


子供の教育や子育てに、完璧な正解はありません。人によって感性や考え方、個性もバラバラであるように、子供時代から大人になってから歩む人生のストーリーもその人だけが経験することもあれば、目的もまたそれぞれです。

その違いをまずは自分自身で受け入れ、他者との違いも理解しようという姿勢を持てる人が多くなると、この世界をもっと生きやすく感じられる教育に繋がりそうです。

Nanaさん、この度はありがとうございました!

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