「多くの知識を頭に詰め込むだけでは得られない」これからの時代を生き抜くために本当に必要な力を育む教育とは?

仕事
この記事を書いた人
Yoga Action
Yoga Actionをフォローする

インターネットが普及し、この数十年だけでも時代が大きく変わったことで子供達に必要な教育の形も変わってきたと感じる方は多いのではないでしょうか?

自分自身の子供についてはもちろん、自分の世代より下の今の子供達とこれからの子供達が教育を通じて何を学び、どう感じた概念や考えが社会にどんな影響を与えていくのかというのは、これからの時代を生きる私たち全員にとって関係のあるテーマです。

今回は日本の教育免許を保持している日本人の小学校のNana先生が、日本から遠く離れたカリブ海に面する中東の国、「ホンジュラス」で教育事業に携わっている経験から日本の教育やこれからの子供たちの未来について語る回となります。

Nanaさん
Nanaさん

ホンジュラスの学校の先生たちね、算数できないし基本やる気ないです..(笑)

(インタビューの中ワンシーン)

・・・先生?どういうこと?!

日本では当たり前の教育現場からは、まったく予想もできないホンジュラスという海外の教育現場の一つのリアルと共に、その違いから得られる気づきや海外から見た日本の教育の問題や課題についても切り込んでいきます。

今リアルタイムで青年海外協力隊として活動している現地の声でもあるので、海外でのこのような取り組みに興味がある方にとっても参考になるインタビューとなっております。

この記事のキーワード

子供、教育、教育費、教育省、自己肯定感、学校、海外、選択肢、算数、先生、少子化

Nanaさんのプロフィール

今回の対談者は・・


名前:吉田 奈菜
主な活動:青年海外協力隊として算数教育(JICAによる取り組み)
活動場所:ホンジュラス共和国
家族構成:父、母、妹
好きな言葉:「Love the life you live, live the life you love – 自分の生きる人生を愛せ、自分の愛する人生を生きろ」
SNSアカウント:@nana_livingabroad

 
 
 

勉強や教育より大切なものを優先しすぎるホンジュラス人たちとの日々

Nanaさん
Nanaさん

私のホンジュラスでの活動のメインは教育分野で、こちらの小学校で現地の先生たちに算数の指導法を教えたり、研修を開催しています。ラテンの国なので公用語はスペイン語、最初はスペイン語の取得に苦労しましたが、それ以外にもたくさんの現地の先生をまとめたり指導する機会も多くあってそういったこともなかなか大変でした。

編集部
編集部

日本の教育って割とすでに体系化されていて、日本の国民の大体が「子供の教育って大体こんな感じだよね」という共通認識があると思うのですが、海外だとまた全然違うと思うんですよね。今日はその辺りをぜひ詳しく聞かせてください。

Nanaさん
Nanaさん

はい、ぜひ!まず、日々信じられないことばかりが起きます。

編集部
編集部

えーと、それは良い意味でも、悪い意味でもでしょうか・・・。

Nanaさん
Nanaさん

主に悪い意味ですね(笑) まず、政府自体が教育というものを重要視していないんです。
例えば
もう日本だったら(主に義務教育で)毎年自動的に教科書は無料でもらえると思うんですけど、そういったものは一切ないです。もちろん個人的にも子供たちは教科書なんてまず持っていないですし、教える先生たちの指導技術もあまり高くありません。最初にホンジュラスに来て本当にびっくりしたのが「先生たちが算数できなさすぎる」ことです。

編集部
編集部

えーと、たしかNanaさんは小学校の先生だと思うのですが、現地の先生たちが算数ができないというとどういうことでしょうか・・??(困惑)

Nanaさん
Nanaさん

例えば研修会で先生たちにテストを受けてもらうと、引き算と足し算、繰り上げ、繰り下がりが入ってくるともうアウト。ストレートに言うと「逆にこれでどうやって生徒たちに教えてるの?」と言う感じです。

編集部
編集部

最初からなかなか衝撃的な話ですね。それは日本人の先生がホンジュラスに行ったら多分全員びっくりすると思います。

Nanaさん
Nanaさん

そうなんです。あとは先生たちをまとめていく上で1番難しいのは、基本やる気がないんですよね。できれば働きたくない人たちなので、「もうお願いだから仕事そんなに増やさないで。」といった具合に。

編集部
編集部

日本とは真逆すぎますね。日本の先生って逆に子供達のために自分の時間とか労力を犠牲にしてでも頑張ってしまう先生が多いイメージなので、より衝撃的です。

Nanaさん
Nanaさん

他にはイベントや休みが多すぎて、授業があるのは1年間の半分ぐらいじゃないですかね。今の時期から、こっちではまた3ヶ月のお休みに入りますよ。11月〜 1月まで3ヶ月休み、しかも宿題もなしです。

編集部
編集部

それはちょっと羨ましいかも・・(笑) 先生にとっても生徒にとっても。

Nanaさん
Nanaさん

いいですよね、ただ授業を再開する3ヶ月後にはそれまで勉強したことをみんなすべて忘れてやってきます。またゼロからスタートです。

編集部
編集部

宿題もないし、たくさん休んで遊んで綺麗さっぱり勉強のことは忘れると。頑張って勉強を教えた側からするとトホホすぎる・・。

築き上げた教育体制があっけなく生まれ変わるホンジュラスと安定はしているけど変化しづらい日本の教育体制

編集部
編集部

ホンジュラスの教育現場のリアルを知ったところで、どんな教育が良いとか何が正解かはさておき、現実としてホンジュラスの人口は年々増えているんですよね。今、日本は少子化がものすごいスピードで進んでいて問題になっている中とても興味深いです。

Nanaさん
Nanaさん

あーでも、これは体感ですがホンジュラスも昔の子供が5人以上いるのが普通みたいな時代より、少しずつ子供は3人、2人か1人くらいという若い夫婦の世代は増えてきていると思います。

編集部
編集部

そうなのですね!日本では多くの夫婦が持ちたくてもたくさん子供を持てない理由の一つとして、とにかく子供の教育費が高くて経済的に厳しいという声はよく聞きますが、ホンジュラスでもそんな感じなのでしょうか?

Nanaさん
Nanaさん

どの国もそうだと思いますが、高等教育機関や大学などは地方より首都圏の方が多くあると思います。それはホンジュラスも同じで、大学に行くなら首都圏へ行かないといけない、都会は生活するのにもお金がかかるということである程度お金がある家じゃないと大学まで出るのは難しいと思います。

編集部
編集部

そう思うと、日本でも教育にかかる経済的負担が大き過ぎる問題はあるものの、ある程度地方にも大学があって学費も補助や奨学金が受けられたりと選択肢が多い日本は、やっぱり世界的に見ると充実した教育体制がまだあるように感じますね。

Nanaさん
Nanaさん

そうですね。最初にお話ししたように、とにかくホンジュラスではそもそも政府が教育を重要視していない感が日本の比ではないので、教育現場は政治の動きにもかなり振り回されています。

編集部
編集部

政治と教育はある程度は関連してくるものだとは思いますが、どう影響しているのですか?

Nanaさん
Nanaさん

説明が少し複雑になってしまうのですが、ざっくりいうと「その時の大統領や政党が、本来独立しているはずの教育省の人間も同じ政党や党派を支持していなかったら全部ルール作り直しになる」みたいなことが起きます。それも地域の行政機関や市役所、教育機関まで渡ります。
例えば、もしとある政党に属している人たちが違う政治思想を持った人の集まりだと国から補助が出ませんとか、国の政党が変わったら職員も全員入れ替えますという事態になってしまうんです。

編集部
編集部

それは教育に政治がかなりストレートに絡んでいますね。というかほぼ一体化していますし国民の生活に影響及ぼしまくりです。日本ではある程度国の政治の動きと別で、教育機関は体系化されているシステムの中でどうするかとか、何を変えていくかというイメージですから、選挙の結果次第でそんなコロコロと変わったらたまったものではないですね。

Nanaさん
Nanaさん

はい、なので何年か頑張って築いてきた教育システムや体制も、政治が大きく動くと一気にゼロになってしまうんです。制度やシステムとして全然安定しませんし、社会がどうあってもある程度安定した教育システムを築いて積み重ねるということがかなり難しいと思います。

編集部
編集部

確かにせっかく長年築いてきたものが崩れるのは困りますね。ただ、逆に日本で言うと安定して積み重ねてきたあまりよくない方向に利権ができてしまったり、変化が必要なのに仕組みが膠着状態になってすぐに変えられないと言うのもそれはそれで問題はありますよね。​​

あまりにも日本と全てが違い過ぎるホンジュラスの教育現場と国の情勢、とても興味深いです。

人口は増え続け結構みんな幸せそうなホンジュラス人と少子化が止まらない日本人

編集部
編集部

どちらが良いとか悪いというのではなく、こうして日本以外の国の「当たり前」な価値観や社会性を知るというのは面白いですし、自分たちの国が持つ課題を客観的に見たり解決するための学びにも繋がりますよね。

Nanaさん
Nanaさん

そうなんです!さっきはホンジュラスの人たちの仕事のやる気のなさなどについてお話ししましたが、逆に見習いたいと思うところもたくさんあります。

とにかくみんな自己肯定感が高くて、自分を認めてあげる力がすごいんです。日本では大人も子供も自己肯定感の低さが問題視されている場面が多くあると思うのですが、ホンジュラスでは今まで自己肯定感が低い人を見たことがないレベルです。

編集部
編集部

日本は自殺率も高い国ですからね・・「ただ生きていることが素晴らしい自分」という根本的な考え方って後からそうなろうと思ってもそうなれないとか、難しく感じる人は多いと思います。

Nanaさん
Nanaさん

1人の人間の人格をつくるまでの過程で、勉強以外の教育や大人・先生たちの接し方も子供達にとって多く影響してくるものですが、ホンジュラスではみんな一緒ではないといけないとか人と比較をするという考え方もあまりないです。例えばこっちの先生たち怒るとめっちゃ怖くて、日本だったら「これ子供トラウマになるのでは?」と思うくらいなのですが、当の子供達はケロッとしていて全然めげないんですよね。

編集部
編集部

感情表現もストレートな文化ですから、なんとなく想像できます(笑) でもなんで子供達平気なんですかね?

Nanaさん
Nanaさん

それは日頃の愛情のかけ方や声かけだと思います。とにかくめちゃくちゃ褒めちぎるんですよ。「あなたたちは本当に頭がよくていい子ね!」といった具合に、怒ると怖いですけど愛情表現の仕方も大きくて、そのベースがあるから自分に対して自然と自信が持てている子ばかりなんだと思います。

編集部
編集部

そういった「どんな状況でも生きるために必要な精神力」みたいなものって、大人になって人生を生き抜く上で一朝一夕で身につくものではないですし、お金で簡単に変えるものでもないですから勉強をたくさんすること以前にすごく大切なことですよね。

Nanaさん
Nanaさん

はい。自分をしっかり受け入れて愛せるというのは、私は算数が専門の先生ですけど、生きていく上では算数ができることなんかよりずっと大事なんじゃないかなっていうのはすごく 感じていて、ホンジュラスの皆さんに対して尊敬してます。

編集部
編集部

学校の休みも長めということですし、先生たちも子供達もなんだか伸び伸びとしていそうでいいですね。ある意味で先生と生徒が対等というか、叱り方とか褒め方に変に気を使いすぎず、自然な生身の人間同士のコミュニケーションが双方で取れているんでしょうね。

Nanaさん
Nanaさん

宿題もない中、日本人からすると3ヶ月も何やってるんだろうって思っちゃうんですけど、

そういった要素も絡んで、彼らがのびのびと生きることができる環境が揃っているのかなと思ったりもする時はありますね。

日本の特別支援級での学びと気づき

コメント

タイトルとURLをコピーしました