患者さんのためにと頑張れるやりがいがある看護師、安定した大学病院での看護師の仕事、昼夜をいとわない勤務時間と激務、ストレスと疲れで次々と現れる自身の体の不調・・
人の命や体に関わる業界だからこそ経験する困難や人との出会いを経て、さらなる次の一歩を踏み出し始めているゆきさんが現在は看護師を支える看護師セラピスト、看護学校の非常勤講師などを活動の場を広げているそれまでの経緯やそこにかける思いをお聞きしました。
・現在、医療や看護師の仕事に従事されている方
・看護師としてのキャリアや今後の人生について悩まれている方
・人を助ける、癒す仕事に興味がある方
そして、今の自分がいる場所からちょっとでも動き出したい、次のアクションを起こしたい全ての方にとって動き出すきっかけとなるゆきさんのストーリーをご覧ください。
ゆきさんのプロフィール
名前:高岡 有希(たかおか ゆき)
主な活動:セラピスト、統合医療クリニックでの看護業務
活動場所:セラピストは「koa三宮店」、看護師業務は「ルークス芦屋クリニック」
家族構成:一人っ子、現在は彼氏と同棲中
好きな言葉:「人を輝かす前に自分を輝かせろ。人を喜ばせる前に自分を喜ばせろ。」
SNSアカウント:@gorihime(Instagram)
病院の外でも活躍する看護師の活動って一体?
看護師さんと聞くと、病院やクリニック・介護施設などで患者さんたちを看護されるようなお仕事をされているイメージなのですが、ゆきさんは今どんなことをされているのですか?
私自身が看護師さんのための看護師という立ち位置で活動させていただいてます。具体的には今後自身の独立を見据えて、アロマトリートメントやヘッドスパができるリラクゼーションサロンに2022年の4月から、修行も兼ねてセラピストとして勤めています。サロンの場所は神戸の三宮です。
それと並行で分子栄養学という栄養学を学んでいます。
分子栄養学とは・・?初めて聞きましたが、普通の栄養学とは何か違うのでしょうか?
正式名称は分子整合栄養医学ともよばれていて、実はこれまでの栄養学の概念というのが欠乏症を補うために例えばビタミンCだったら「病気にならないための上限の100mgを1日とりましょう!」というように厚生労働省が定めているんですね。
分子栄養学はそれとは考え方が少し違っていて
「私達の細胞が最大限生き生き活動できる栄養の量ってどれくらいなのか? 」
「自分の体の状態は今どれくらいの値で、どのぐらいの栄養を欲してるのか?」
といったことを検査などで調べ、「その人が必要としている栄養素を十分に補い、細胞1つ1つを元気にして自然治癒力や免疫力を高めることによって健康増進に繋げましょう」という栄養の考え方で行っています。
その人個人に必要な栄養素が何かをより具体的に教えてくれるのですね。
その人の体の状態って、確かに人それぞれ全然状態が違いますから、なんだか無駄なく合理的で、すごく効果的な気がします。
実際に私自身も分子栄養学を元に行った健康への取り組みが、自分の体にもすごく合って体調も改善した経験も踏まえ、予防医学の一つとしてこの知識を用いてひとりひとりの体に合うカウンセリングができるよう今活動し始めています。
プロフィールに大学の非常勤講師とありましたが、これはどんなことをされているのですか
分子栄養学の知識を用いたカウンセリング・セラピストとしての活動と同時に、これから看護師として働く看護学生の方向けに「看護学生のときからしっかり働ける体作りをしてほしい」という願いを込めて、看護大学の非常勤講師もやらせていただいてます。
看護師の仕事はやりがいもありますが、どうしても体力的にも精神的にもしんどい部分もあり辞めていく方も多いのですが、看護師になってからその大変な思いするっていうよりかは、学生時代にしっかり自分の体調管理のことも意識して知識も持ってほしいので、そこでは正しい栄養の取り方についてなどをお伝えさしていただいただいてます。
看護大学での講義の様子
看護学生さん向けにも、看護師さん自身が現場で健康的に活躍できるように今からその知識を仕込まれているんですね。確かに、学生の頃の方がまだ時間や精神的にも余裕があるかもしれませんね。
ゆきさんは、今は看護師もしながらサロンや講師活動を中心にされているんですか?
そうですね。大学病院の看護師を5年、その次に訪問看護の仕事を2年ほどしたのちに今のような活動に至っています。
大学病院で働いていた時は結構ブラックな病棟にいまして、残業時間も毎日4~5時間当たり前、昼夜通して働く時間がコロコロ変わるような交代勤務もあり体に負担もかかるしで、1年で4分の1ぐらいの人が心か体を病んで流産しましたとか、持病が悪化しました、適応障害ですみたいな形で人がどんどん辞めていくし、さらにその穴を埋めるために他の人が頑張って悪循環しているような状況でした。
過酷な労働環境下での肌荒れ、メンタルの不調、そして大切なものを同時期に失う出来事を経て
看護師さんってすごく激務で、ストレスや疲れが溜まって大変と私も友人からよく聞きますが本当に多いんですね。そのような状況の中で、ゆきさんが今のような活動へ動くきっかけや変化はどんなことがあったのですか?
今でも看護師の仕事自体はすごい素晴らしいと思っていますが、健康を守るための看護師がバタバタ倒れていく現状でも何かおかしいんじゃないかともずっと思っていました。「私達を看護してくれる人っていないのかな?」という思いもある中、私自身も結構心も体もまあまあ限界なところまで来ていましたんですね。
目に見える体調不良で言うと顔と背中と胸と腕まで全部ニキビだらけで、それだけでも結構コンプレックスに感じてストレスになりますし、便秘もひどくて手足は結構細くてガリガリなのにお腹だけはすごくいつも張ってて苦しいんです。
人と接するお仕事ですから外見的なことも気になりますし、腸内環境って肌にもすごく影響でますよね。
腸内環境がかなり乱れていたんでしょうね・・。毎日下剤を飲んで、夜もあまり寝られない時があったり、メンタル面でもなぜか分からないけど涙が出たりとかいうところまできていて、それが看護師になって働いてから5年経ったころでした。
ちょうどその時期に結婚しようという相手がいて、お互い結婚したいしっていう話になりました。ただ当時の大学病院での3交代制シフトだとちょっと家庭を守るのにしんどいので、もう少し安定したところで働きたいと思って訪問看護の仕事に転職したんです。
そのタイミングで自分にとっては結構辛い出来事が重なって起きたのですが、順にお話ししますと・・
まず訪問看護の内定が決まった3日後ぐらいに結婚したいって言ってた彼氏に振られ、人生で初めて大失恋を経験しました。その結婚に向けて転職もしたのにびっくりですよね。
あとは看護師ってあまり患者さん亡くなられても泣くことってそこまでないのですが、私含め看護師・先生ほぼ病院の全ての人が泣いたくらい、私も大好きだった患者さんが急に結構ショッキングな亡くなり方をされてたり・・。
同時にコロナがその時始まり、プライベートでも両親が急に別居して離婚したり、祖父が亡くなったりと、プライベートと仕事でなくすものがポンポンと重なりまして。
・・これでもかというほどお辛い出来事が重なったのですね。
1年ちょっとの期間に一気にきましたね。
その時に「本当にこのままで私生きていっていいのかな?」と思うようになりました。今まで当たり前と思ってたものが当たり前じゃなくなってきて、「本当に私がやりたいことって何だろう?」っていう壁にぶち当たったそのタイミングで、私の皮膚をどうにかしたいと思って皮膚科に行ったときに分子栄養学に出会いました。そこで皮膚科の先生が「ニキビは外だけじゃないから、多分それ内側からだいぶきてるから採血してみよう」と言われて採血・検査してみたところ、
・すごく低栄養
・タンパク質も足りておらず貧血もだいぶ進んでいる
・脂肪中性脂肪含め体の蓄えである脂肪分とかコレステロールがすごく少なくて飢餓状態になっている
ということが分かったんです。
そこからまずは食事を変えてみようという話になり、食事変えたらすごく良くなってきて2~3ヶ月でまず肩こりを感じなくなったり、疲れやすさがすごく改善され、もちろん肌の方もちょっと改善してきたりとか、体にすごいプラスの影響がありました。
「当時の頃の様子が伝われば・・」と分子栄養学に出会った頃Before→After(1年後)のお写真を提供してくれたゆきさん
ショッキングな出来事を機に、このお写真のように外見のBefere〜Afterだけでも大きな変化が起きたのですね!皮膚科という表面の皮膚なのに内側を見てみようとなるのも本質的ですね。
ちょうどその頃からビジネス書なども読み漁っていく中で、食事や栄養の取り方が変わったことと共に考え方の部分も変わってきていました。
私自身がこれまで与えられたものでずっと公務員で安定したお給料もらえるのが良い事だってずっと思ってたんです。いい大学行って、良い就職先で働いて、安定したお給料をもらって、やりくりしていい家庭を作る・・それが一番いいんだ!みたいな価値観で生きてたのですが、
「いや、そうじゃない。私が本当にやりたいのはそういったことではないし、親の敷いたレールを歩いていくのではなく、自分で自分の人生のレールを引いて歩いていけるようになりたい」
というように思い始めたときに、私やっぱり独立したい、1人で何かしたいということに気づいたんですね。
そこからさらに私に何ができるかなって考えた時に「看護師さんのための看護師になりたい」という思いが自分の中から出てきました。
これまで大切にしてきた自分の価値観や大切な方々を失うような出来事があって、それをきっかけにゆきさんの中からこれまでと違う思いが出てきたのですね。
疲れてる看護師さんを癒してあげられる人になるには、まずはトリートメントができるようにやりたいなと。ただ表面的な体のケアだけでは人はなかなか変わらないので、それでは内側はどのように整えようか?と考えると、分子栄養学で内面から整えられるようなカウンセラーになろうという結論に至りました。
さらに体の中で栄養を整えることができたとしても、体調不良として表面的な問題が出てくる原因はマインドの面から来てる場合もかなり多いですよね。そこで心の面もアプローチできるようにコーチングができるようになろうと思って、体の外と中からどっちも整えられる看護師のための看護師っていうことで、外側のマッサージでのアプローチと、内側は栄養と心のアプローチっていうのができる存在として活動を始めています。
コロナの期間も含め、この2年間でかなり環境も考え方もガラッと変わったのですね。その中で、特に一番自分が動き始めたその瞬間はいつくらいですか?
当時の恋人と別れて大好きな患者さんが亡くなった・・という時期はまだショックの状況段階だったので、具体的に行動面で変わろうとし始めたのはその後転職してしばらくしてからくらいですね。
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